社員紹介で報酬を支払うときの注意点

こんにちは、三ツ星HRコンサルオフィスです。

コロナの影響により、加熱していた求人マーケットも落ち着きを見せています。

しかし、今後の人口減少による採用環境の厳しさに大きな変化はないでしょう。

そういった中、社員紹介(リファラル採用)は引き続き重要な手段であると考えます。

通常、社員紹介があり、採用に至った場合、報酬を払われるケースがほとんどでしょう。

ご注意いただきたいのですが、単純に報酬を支払うだけでは、合法的な支払いとはいえないのです。

就業規則において、報酬を賃金として支払うことを規定しないといけません。

※賞与支給の際に報酬分を上積みする方法でも問題ないです(金券は☓)。

そこで当記事では、社員紹介制度を法違反とならないためにはどうすればよいかまとめました。

人事・労務に携わる方は、必ず抑えておきたい内容です。

中間搾取の排除

かつて日本では、口入れ屋、労働供給業者等が労働関係に介入することで、賃金のピンハネなどの非人道的な悪習が広く行われていました。

労働基準法(以下、労基法)は職業安定法(以下、職安法)と相まって、何人も、職安法または船員職業安定法に基づく許可を受けた場合以外には、業として個人の就業に介入して利益を得ること、すなわち中間搾取を行うことを禁止しています。

行政解釈によれば「何人も」とは、当該労働関係における使用者以外のすべての第三者をいいます。

「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の木王位を反復継続することをいいますが、1回の行為であっても、反復継続する意思があれば十分で、主業としてなされるかは問題ではないです。

さらに、「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等如何なる名称たるとを問わず、又有形無形なるとを問わない」と解されています。

「他人の就業に介入」するとは、「労働関係の当事者、即ち使用者と労働者の中間に、第三者が介在して、その労働関係の開始存続について、媒介または周旋をなす等その労働関係について、何等かの因果関係を有する関与をなす場合」をいいます。

労働関係の開始に関する介在としては、職業紹介、労働者の募集、労働者供給事業があります。

労働者募集と報酬の受領および供与の禁止

「労働者の募集とは、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者似たい足、その被用者となることを勧誘すること」をいい、その方法には、広告等の文書募集、直接募集、委託募集の三つがあります。

直接募集とは、労働者を雇用しようとする事業主(募集主)が文書募集以外の方法で直接労働者者に働きかけて応募を勧誘し、または募集主に雇われた人が募集主の支持で募集主のために直接労働者に働きかけて応募を勧誘することをいい、原則として自由に行うことができます。

労働者の募集を行うものは、雇われた人で労働者の募集に従事するものまたは募集受託者に対して、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合または委託募集の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはいけません。

この規定に違反したら6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

社員紹介制度は、社員に知人等を紹介してもらい、紹介あるいは採用となったときに紹介料を支払う制度です。

社員紹介制度を導入し、会社が紹介を行った社員に対して、報酬を与えることは職安法40違反であり、中間搾取とみなされる可能性もあります。

労基法6条および職安法40条違反にならない報酬の支払い方法

労基法6条では何人も業として他人の就業に介入して利益をえることを、職安法40条では労働者の募集主が、その雇われた人で労働者の募集に従事するものに対し、賃金、給料その他これらに準ずるもの以外の報酬を与えることを禁止しています。

そこで、社員紹介制度がこれらの規定に違反しないためには、社員が紹介により業としての利益を得ているとみなされない制度にする必要がありますよね。

すなわち、求職者を紹介した社員に対して、「賃金、給料その他これらに準ずるもの」以外のものを支払ってはいけないということになります。

賃金とは労基法11条により、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と規定され、法令で認められている場合以外以外は現物給与の支払いはゆるされません。

さらに、賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算および支払いの方法は就業規則の絶対的記載事項とされています。

これらのことを踏まえますと、労働者紹介に対する報酬を合法的に支払うためには、就業規則(賃金規程)に、紹介に対する報酬を賃金(手当)として支払うこと、その支給条件および金額を明確に定めることが必要です。

人事評価に反映させることで、賞与支給の際に報酬分を上積みすることも、賞与は賃金に該当するので問題はないと考えられます。

報酬水準については、具体的に行政解釈などにも示されていませんが、高額な場合は業として行っているとみなされてる可能性があるので、手当や賞与に上乗せする金額は、他の手当や基本給を上回らない程度が無難ではないでしょうか。

また、QUOカードやギフトカードのような金券は現物支給であって、賃金とは認められないので、支給しないほうがよいです。

まとめ

何気なく、紹介に対する報酬をお支払いされていること、まれに見かけます。

上述のとおり、「賃金」として報酬を支払うことがとても重要ですので、自社で整備されているか、今一度ご確認されることをおすすめします。