間違って付与した年次有給休暇の処理をどうするか?

こんにちは、三ツ星HRコンサルオフィスです。

昨年施行された働き方改革関連法の影響もあり、今年の年次有給休暇(以下、年休)の消化には敏感になられていると思います。

そういった中、まれにご相談があることが「年休」を誤って多く付与した場合の処理方法です。

エクセル管理されている企業様ではあるあるです。

実際、多く付与し、消化されていたことが発覚した月の給与にて、誤って付与した分を欠勤控除したところではないでしょうか。

実務的には、給与から一方的に賃金控除することは法的リスクがありますので、ご本人の同意をとるべきだと考えます。

同意が得られなければ、控除ではなく、賃金を返還してもらうということも方法ではありますが、そうなってしまうと諦めるケースが多い印象です。

そこで当記事では、誤って付与した年休の処理方法について法的意味などを中心にまとめてみました。

人事労務担当者の方は、いつかやってしまうミスでもありますので、処理方法について頭の片隅入れておいていただければ役に立つのではないかと思います。

本来は付与されていない年休消化の法的意味

労働基準法39条1項は、「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定しています。

さらに、雇入れの日から2年6ヶ月までは勤務年数1年ごとに1日を加算、3年6ヶ月以降は勤続年数1年ごとに2日を加算して与える必要があります。

雇入れの日から6年6ヶ月経過すると付与日数は20日となり、以降の加算はありません。

そして、過去の判例では、労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時期指定したときは、使用者が時季変更権の講師をしない限り、年休が成立するとされています。

このことからも当然ですが、労働者は、その有する年休の日数分しか取得することはできません。

クライアントからご相談がたまにあることですが、会社が労働者の勤続年数のカウントを誤ったため、労働者が本来は取得できない日数分を、余分に年休として認めてしまい、賃金を支払ってしますということですが、それは年休の取得無効になると考えます。

年休取得が無効になるということは、年休の取得に対して会社が賃金支給したことが誤りだったということですから、労働者が支払いを受けた賃金は、法律上の根拠に基づかないものであったことになります。

つまり、不当利得として会社に返還しなければならない、ということです。

ほんとに賃金から控除できる?

もちろん会社としては、誤って支払った賃金を欠勤控除として扱いたいところですので、誤りが発覚した月の給与から賃金を控除したいのです。

すると、賃金債権の調整的相殺という問題が出てくるようです。

この調整的相殺は、最高裁の判決があり、ある賃金計算期間に生じた賃金の過払いをあとの期間の賃金から控除することは、その行使の時期、方法、金額などからみて労働者の経済生活の安定を害さない限り、賃金全額払いの原則に反しないとされています(福島県教組事件)。

すなわち、過払いのあった時期と賃金の清算・調整の実を失わない程度に合理的に密着した時期になされ、労働者に予告されるとか、その額が多額にわたらないなど、労働者の経済生活の安定を脅かすおそれがない場合に控除が認められることになります。

例えば、年休日数のカウントミスが昨年度だったとしますと、過払いのあった時期から長期間が経過したところでの調整になってしまい、金額が数日分のみで多額でなかったとしても、裁判上のリスクは残りそうです。

よって、実務上の対応としましましては、労働者からの同意を得て控除するべきでしょう。

しかし、労働者が同意しない場合には、賃金控除せず、不当利得返還請求を行うという選択肢もありますが、そもそも会社のミスですから、わざわざ別途請求するケースは少ない印象です。

まとめ

年休付与日数ミスは、人事労務問題あるあるです。

原因は、手計算・エクセル管理だからではないでしょうか。

面倒が増えますので、人事管理ソフト導入などを実施することをオススメします。