年休取得日に短時間でも出社してしまった場合の賃金の取扱はどうする?

こんにちは、三ツ星HRコンサルオフィスです。

働き方改革関連法の影響もあり、年休取得には敏感になられているのではないでしょうか。

そういった中、せっかく年次有給休暇を取得しているにもかかわらず、ちょっとだけ出社して働いてしまう方いらっしゃいませんか?

責任感の強いまじめな従業員だと思いますが、賃金の支払いなど事後処理がとっても面倒くさいです。

ルールとして年休取得日に労働させることはできませんので、年休は本人との合意の下に取り下げてもらう必要があります。

そして、年休取り下げ後の処理として、欠勤(不就業時間)となった分の賃金については、「勤務したこととみなす」などの対応を検討することとなります。

こういった問題は定期的にご相談がありますので、年次有給休暇の目的などを整理し、誤って働いてしまった後の実務的な事後処理方法をまとめてみました。

当記事が人事労務担当の方のお役に立てれば幸いです。

年次有給休暇の目的

労働基準法39条(以下「労基法」)では、所定休日とは別に労働者にできるだけまとまった休みを与え、心身の疲労を回復させ労働力の維持を図ることを目的として、一定の要件を満たした労働者に、有給でその日の労働提供義務を免除する年次有給休暇(以下「年休」)を付与することを義務づけています。

年休は、午前0時から翌日の午前0時までとされていて、その趣旨から考えても当然のことですが暦日単位での付与が原則です。

仮に労働者が半日単位で請求してきた場合であったも、使用者はこれに応じる義務はないです。

しかし、行政通達により、労使合意の下であれば半日単位での付与も差し支えないこととされています。

労働時間の判断

労基法32条に定める労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かによって客観的に定まるものであった、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である」とされています。

よって、前述の定義に該当している場合には、労働時間と認められ労働の対価として賃金が支払われます。

また、明確な労働指示はないものの、労働者が労働していることを黙認している状況であれば、労働者に対して黙字の指示をしたものとして労働時間とされる可能性は高いです。

ですので、労働者からの自主的な労働の申し出を上司が認めれば、使用者の指揮命令下の行為とみることができますので、その行為が業務の性質を有するものであれば、要した時間については労働時間とされます。

実務上の処理方法

労働者からの申し出であったとしても、年休取得日に労働させることは、年休の目的に反します。

上司は、労働者からそのような申し出があった場合、他の者でも対応できる内容であれば代わりの人員を確保するなど、本人の出社を回避する他の方法を考える必要がありますよね。

しかし、本人のみが対応可能な業務であり出社はやむを得ないということであれば、本人との合意を前提にまずは年休を取り下げるべきであったと考えます。

よって、申し出を受けた上司は、出社の申し出を断り申請どおり年休を取得させるか、本人の合意の下に年休を取り下げその日については所定労働時間どおりの出勤を命じ、後日あらためて年休を取得させるといった対応をすべきです。

例えば、年休を取得したうえで、勤務することまで承認してしまい、実際に2時間程度の勤務をしてしまった場合は、以下のような事後措置が考えられます。

①通常勤務したものとみなし、通常の賃金を支払う

すでに取得済みの年休は本人に説明のうえ、合意の下に遡及して取り下げます。

2時間程度の勤務ですと所定労働時間に満たないことが多いと思います。

本来であれば、所定労働時間に不足している時間分の賃金については控除すべきところではありますが、通常の労働日同様に所定労働時間働いたものとみなして通常の賃金を支払います

なお、半休制度がある会社の場合には午後の年休のみ取り下げて午前半休とし、午後は通常の勤務をしたとみなして賃金を支払う方法もあります。

②実際に勤務した時間分のみ賃金を支払う

上記①と同様に、すでに取得済みの年休は遡及して取り下げたうえで「ノーワークノーペイ」の原則に従い、勤務した2時間分だけ賃金を支払います。

この対応では、所定労働時間に不足する時間分の賃金を控除することになります。

しかし、労働者は賃金が控除されることに納得されることは稀ではないでしょうか。

当然にトラブルになる可能性がありますので、きちんと話し合いの場を設けて、場合によっては別の日に不足分の時間を勤務してもらうことで、不足分の賃金を補填する措置も必要になると思います。

まとめ

実務上は、上記の①の対応となってしまうと思いますが、たとえ労働者からの自主的な申し出であっても、突発的な緊急を要する業務でもない限り、年休取得予定日に労働させることがないように指導を徹底すべきですよね。