たばこ休憩は労働時間なのか?

こんにちは、三ツ星HRコンサルオフィスです。

喫煙者は減少傾向にあるようですが、一定規模の企業となると、一定数のスタッフが喫煙で離席しませんか?

このような状況をみて、非喫煙者のスタッフから、喫煙のために離席している時間については勤務してないのであるから、賃金をカットすべきではないか?という議論もなされることでしょう。

当記事では、スタッフが喫煙のため離席している時間は労働時間にあたるのかどうか、まとめてみました。

結論:労働時間に該当しないなどの判断はなされていないことが一般的

指揮命令下にあったかどうかの評価の問題であって、個別の事情に左右されることと、裁判例でも喫煙のために労務提供していないことだけをもって、労働時間に該当しないという判断はなされていません

受動喫煙の防止

労働安全衛生法68条の2は、事業者に対して労働者の受動喫煙を防止するための措置を講じるよう努力義務を定めていますが、これに違反した場合の刑罰は予定されていません。

一方、健康増進法においては、2020年4月1日から、多数のものが利用する施設(第二種施設)では、屋内禁煙が原則とされています(健康増進法30条)

なお、都道府県知事は、施設管理権限者が違反している場合には、勧告をし、さらには命令を出すことができ、この命令に違反した場合には50万円以下の過料の制裁が予定されています(同法32条、76条)。

よって、社内喫煙所を廃することはやむを得ないものではないか思います。

労働時間の意義

労働基準法上の「労働時間」とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」(三菱重工業長崎造船所事件・最一小判平12.3.9)と解釈されています。

その後の最高裁判決でもこの定義は踏襲されています。

ここでいう「労働時間」には、作業と作業との間のいわゆる手待時間も含まれます。

この手待時間は実際には実作業に当たっていないため、外形的には休憩時間と同様に見えますが、休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を言うのではなく、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間のことを意味します。

つまりスタッフが勤務時間中に喫煙しに社外へ外出している時間が労働時間といえるのか、使用者の指揮命令下に置かれていると評価できるかが問題となります。

喫煙のため労務を提供していない時間が労働時間かが争われた裁判例

指揮命令下にあったか否かの問題ですので、個別の事情に左右される部分は多く、裁判例でも喫煙のために労務提供をしていないことの一事をもって、労働時間に該当しない等の判断はしていません。

すなわち、「原告は、喫煙習慣を有しており、一日の勤務時間中、昼食時の休憩時間のほかに、少なくとも合計一時間程度の喫煙時間を取っていた・・・、このような喫煙時間は、その部分について労務提供がない」(大阪地判令1.12.20)として労働時間として認めないものがある反面、「原告が作業と作業との間に休息したり、喫煙したりできても、当座従事すべき作業ないために過ぎず、作業の必要があ生じれば直ちに作業を再開すべき手待時間に当たるときは、原告は依然として被告の指揮命令下に置かれており、労働から離れることが保障されているとはいえないから、労働時間に当たる」(東京地判令平30.3.9)として労働時間であることを肯定したものとに分かれています。

これらの裁判例を踏まえて、社内においても喫煙のために外出するスタッフの管理を行うなどの対応が必要となってくるでしょう。