フルコミッション(完全歩合制)の導入は可能か?

こんにちは、三ツ星HRコンサルオフィスです。

先日、以下のTweetをしました。

 

コールセンター関係のクライアントから、在宅勤務でのコミュニケーターの給与形態のご相談が立て続けにあった。
それも、フルコミッションの導入だ。
できなくはないけど、導入ハードル高め。
新型コロナウイルス感染症の影響により、コールセンターのコミュニケーターさんの働き方も多様化しています。
実際、在宅勤務での対応を行っているコールセンターも多数あるようです。
人手不足の業界でもありますし、在宅勤務での運用を成功させると、アフターコロナでの競争でも優位に立てることでしょう。
そういった中、先日、在宅勤務コミュニケーターさんの給与形態について、「フルコミッション(完全歩合制)」を導入したい旨のご相談を受けました。
アウトバウンド業務のコミュニケーターさんにはとても有効的な給与形態でしょう。
しかし実質としては、完全歩合制とするのは難しく、労働時間に応じた一定の保障給を設ける必要があります。
そこで当記事では、「フルコミッション(完全歩合制)」を導入する際の要点をまとめました。
人事労務担当者の方は、知っていて損する知識ではないと思いますので、是非ともご一読ください。

出来高払い制における法規制

「使用者は、出来高払い制その他の請負制で使用する労働者について、労働時間に応じて一定額の賃金の保障をしなければならない」と、労働基準法27条に規定されています。

ここでの「出来高払い制その他の請負制」(以下、出来高払い制)とは、民法上の請負契約を指すのではなく、労働契約に基づく賃金の支払いを、労働者が製造した物の量・価格や売上高に応じた比率で行うことを指します。

問題の完全歩合制も、この出来高払い制に含まれます。

このように、出来高払い制について規制が設けられた趣旨は、労働者が長時間労働をしても、製造量や売上高次第で賃金額が低下することになるため、一定額の賃金を保障するところにあります。

一定額の賃金の保障とは

出来高払い制で必要とされている「一定額の賃金の保障」とは、

  1. 労働契約または就業規則等で、一定額の賃金(以下、保障給)を支払うことを保障する旨を定めた上で、
  2. 実際に保障給を支払うこと

を指すと解されています。

労働契約または就業規則等で保障給について定める際には、前述のとおり、労働時間に応じたものにしなければなりません

したがって、時間給であることを原則とし、実労働時間の長さと関係なく、単に1ヶ月について一定額を保障するのでは労働基準法27条違反となります。

また、保障給の水準については、労働基準法において「一定額の賃金」としか定めておらず、行政通達でも、常に通常の実収賃金とあまり隔たらない程度の収入を保障するようにその額を定めるべきとされるにとどまります。

そこで、休業の場合に労働基準法26条が平均賃金の6割以上の手当の支払いを要求していることからしますと、労働者が現実に就業している出来高払い制では、少なくとも平均賃金の6割程度を保障することが妥当と解されているようです。

なお、使用者が保障給について定めていない場合、労働者は使用者に対し、保障給の請求をすることはできませんが、出来高払い制に基づく賃金が、実労働時間に最低賃金額を乗じた額に満たない場合には、使用者は最低賃金額との差額を支払わなければならないとされています。

出来高払い制で保障給の支払いを要する場合

以上のとおり、出来高払い制では、労働契約等で保障給について定める必要があるものの、労働者が自らの責に帰すべき事情により就労しない場合については、使用者に賃金支払義務はなく、保障給の支払義務を負わないと解されております。

また、労働者が使用者の責に帰すべき事情により就労しない場合については、労働基準法26条(休業手当)が適用されることになります。

したがって、使用者が出来高払い制において保障給を支払わなければならないのは、労働者が就労したにもかかわらず、何らかの事情で出来高が減少した場合に限られます。

まとめ

フルコミッション(完全歩合制)の導入には、一定の要件がございます。

上述の内容を踏まえ、導入する際には一定のルールを設けて運用されるようにご注意をお願いいたます。